加水分解性タンパクと加水分解甲殻類はキャットフードに必要?
キャットフードの成分表示を確認すると、「加水分解性タンパク」「加水分解甲殻類」の文字を発見することがしばしばあります。加水分解性タンパクや加水分解甲殻類と動物性タンパク質の違い、そしてどのような効果が期待できるのかを確認しておきましょう。
加水分解性タンパクとは
加水分解タンパクとは、動物性タンパク質を加水分解してアミノ酸にしたものです。加水分解タンパクにすることで旨味が増しコクも出るので、猫の食いつきがよくなります。また、骨や筋肉などの発達に欠かせない動物性タンパク質を速やかに体内に取り入れることができます。
加水分解性タンパクはすでに細かい分子となっているため、消化管でスムーズに吸収することができます。消化器官への負担が軽くなるので、高齢の猫や病気の猫のタンパク質補給に適しているといえます。
加水分解甲殻類とは
カニやエビに代表される甲殻類の殻に含まれるキチンを加水分解してグルコサミンにしたものが、加水分解甲殻類です。グルコサミンは軟骨をサポートするため、関節炎に有効だといわれています。そのため、キャットフードに含まれているだけではなくサプリメントとしても販売されています。
加水分解性タンパクと同じく消化がいいため、高齢猫用のフードや療養食にしばしば利用されています。また、関節に負担のかかりやすい肥満猫に与えるのも効果的ですよ。
加水分解性タンパクや加水分解甲殻類の危険性は?
動物性タンパク質やキチンを加水分解する方法は、大きく分けて2通りあります。酸を用いて分解する酸分解法、そして酵素を用いて分解する酵素分解法です。酵素分解法の方が安全でリスクがありませんが、費用が高額になります。そのため、キャットフードを作るほとんどのメーカーは酸分解法を採用しています。
酸を利用するのは危険なイメージがありますが、加水分解後に中和処理をするので問題ありません。しかし、この過程で微量のクロロプロパノール類が生成される場合があります。これは発ガン性が示唆されているため、注意が必要です。しかし、ほとんどのソースや醤油など人間が口にするものにも含まれている物質なので、そこまで神経質になる必要はないといえるでしょう。
加水分解性タンパクや加水分解甲殻類を摂取させよう
加水分解性タンパクや加水分解甲殻類は猫の栄養になるだけではなく、消化管に優しいという特徴があります。愛猫がすでにシニア猫の場合や病気で弱っている場合は、キャットフードやサプリメントなどでこれらを摂取させるとよいでしょう。また、肥満で四肢に負担がかかりがちな猫には加水分解甲殻類を積極的に摂らせることをオススメしますよ。